1 自動運転バスで過疎地交通が復活⇨進捗度C(緒にもついていない)
 全世界で開発競争が激化している自動運転技術。実用化が間近とも、まだまだ先だとも言われています。いずれこの技術に関しては、複雑な判断を要する都市部よりも交通量の少ない地方の方が先に実用化される可能性もあるのではないでしょうか。現に平成28年には全国で初めて本県の仙北市で自動運転バスの実証実験が行われ、また平成29年には上小阿仁村でも雪上での実験が行われました。特に上小阿仁の実験車両は埋設したワイヤーによる有線誘導であり、定期路線バスであれば、技術的にはすぐにでも実用化できるのではないかと感じるものでした。  いま減便・廃線の相次ぐ路線バスは、運行コストの大部分をドライバーの人件費が占めています。運行の無人化が実現すれば大幅に採算ラインが下がり、人口密度の小さい地域でも路線バスの運行が可能になります。技術的・法的に課題はまだまだ多いですが、秋田のような地域こそが率先して手を挙げ、全国に先駆けて自動運転バスを実現するのにふさわしいのではないでしょうか。県の腰は重いですが、引き続き積極的な行動を訴えてまいります。
2 IT技術による遠隔診療…  ⇨進捗度B(一部では導入されている)
 第4次産業革命により、これまで不可能と考えられてきたことが次々と実現しています。すでに広く実用化されているのが見守りサービス。高齢者のご自宅にセンサーやモニターを設置することで、遠く離れた子ども世代が毎日いつでもお元気であることを確認できる。また万が一の時には速やかに救急通報できるようなシステムができている。これは一部の家庭で導入され現実となっています。  また医療に関しては、平成27年8月の厚労省通達で事実上の解禁になったとされる「遠隔診療」が一部の病院で行われています。スマホなどの通信機器や大容量・高速通信網の発達によって医師と患者を高精細な画像でつなぐことができるようになり、医師不足の地域でも遠方の医師の診察が受けられる時代が近づいています。秋田県ではまだまだ普及とまではいっておりませんが、広大な県土で医師の偏在が深刻な本県こそ、遠隔診療を医師不足対策の切り札として導入していきたいと考えています。
3 IT関連企業が集積… ⇨進捗度A(県が着手し、少しずつ進んでいる)
 秋田県経済のハンディともいえる「遠い」「雪が降る」の2点。これをほとんど気にしなくてすむ産業が「IT」です。インターネット環境さえ整っていれば、東京や全世界の仕事を秋田にいながらこなせるので、何も高コストの東京に事務所を構える必要がありません。そのことに気づいた大手IT企業や有力なベンチャーが、優秀な人材を地元で確保するという目的もあり、すでに秋田進出を始めています。  人工知能の進歩で様々な仕事が機械に奪われていくなか、ITを使いこなす側の人材はこれからますます不足していきます。経産省の試算では2030年に全国で78万人ものIT人材が足りなくなるとのこと。優秀な秋田の子ども達をしっかり稼げるIT人材に育て、東京へ送り出すのではなくそれを求める企業を秋田に集積し、「秋田に住みながら世界で稼ぐ」形を創り上げることは十分に可能なのです。
4 プロスポーツやライブなどエンタメ環境…⇨進捗度B(俎上には乘っているが未確定)
 20歳前後の若者に「どうしてみんな秋田を出て行ってしまうのか」と聞くと、仕事云々よりもむしろ「娯楽がない」と答える人の方が多いです。これから人生を謳歌しようという世代にとっては、日常をどれだけ楽しめるかというのは最重要事項でしょう。人口規模の小さな秋田で大都会と同じようにはできませんが、少なくとも他の地方都市でできるくらいのことは実現してやらなければ、人口流出は止められません。その有力なコンテンツが「プロスポーツ」「有名アーティストのライブ」などです。  秋田では幸運なことに、意欲あふれる2人の若手経営者が、周囲の「無理だ」という声を押し切ってプロバスケットボールとJリーグのチームを作り上げ、見事に軌道に乗せました。この夢と希望ある挑戦を、世代を超えみんなで応援しないような地域に未来はありません。地方のプロスポーツ振興は国の大きな戦略でもありますので、しっかりと国の制度を活用しながら、若者が残ろうと思えるような秋田県を創ってまいります。
5 クルーズ船… ⇨進捗度A(県が着手し、少しずつ進んでいる)
  ここ数年で急増している大型クルーズ船の受入環境整備のみならず、秋田北ICとのアクセス道路の整備等により、秋田港の交流・物流拠点としての機能は大幅に強化されます。JR東日本は全国でも異例のクルーズ船列車を乗り入れ、また船から降りたその土地でユネスコ無形文化遺産である「土崎神明社祭の曳山行事」が行われているという、世界でも稀有な観光港となりうるポテンシャルが秋田港にはあります。この港の価値を最大限に活かし、秋田の海の玄関口として大活躍してもらわなければなりません。
6 伝統文化や…⇨進捗度B(県に意欲はあるが上手くいっていない)
私が秋田に来て約13年、一番もったいないと思い続けているのが観光産業です。全国最多の無形民俗文化財や郷土食や地酒など、とても魅力的なコンテンツがあるのに経済的利益と継続的な集客につながっていません。基本的には民間事業者がメインとなる産業なのですが、それをバックアップする県行政の姿勢にも問題があります。足りないと感じるのは徹底した顧客目線と、一貫性とセンスあるブランディング。こちらが発信したいことを発信するのではなく、他県・他国人は秋田に何を求めているのか?に焦点を当てた観光施策を引き続き提言していき、観光地秋田県の飛躍的な成長をめざします。
7 人口流出…⇨進捗度C(全く上手くいっていない)
「結婚する世代」「出産する世代」それ自体が減っているのが問題の根本です。そのため
 ①高卒就職者の県内定着率を上げること
②県内大学の学部学科構成を県内産業とマッチングすることで、大卒の県内定着率を上げること
③一度県外へ出た本県出身者が結婚・出産を迎え、
 地元回帰を意識し始める30代〜40代にターゲットを絞り、Aターンを促進すること
により、直接的に少子化問題へ歯止めをかけます。  子育て支援に関しては、現在国が大きな政策展開を検討しているようです。私の経験上、保育料や医療費の助成は助かるのですが、だからもう一人産もうという決断にまではなかなかつながらないのではないかと思います。やはり国を挙げて大規模に、「子育てにお金はかからない」と思えるくらいの支援策を講じなければならないと考えます。  また秋田市中心市街地のCCRCを核として、介護施設が深刻に不足する大都市圏からのシニア世代の里帰りを促進し、人口・経済規模の維持を図ります。
8 新エネルギー…⇨進捗度B(県に意欲はあるがまだ不確定)
 全国トップクラスの風力発電量を誇る本県ですが、大手企業による事業ばかりが増えると、利益の落ちない「原料供給県」に陥ってしまうおそれがあります。ここは立地県としての権益をしっかり主張するとともに、組み立て〜施工〜メンテナンスの各工程の作業を県内で請け負うことができるよう、県内事業者の技術力アップを強力に支援していく必要があります。これが確立できれば、将来にわたって安定・継続的に雇用を創り出せる「産業」になると思います。
9 農地集約と…⇨進捗度B(所得向上までは道半ば)
 佐竹県政の政策で私が最も高く評価しているのは、農政です。これまで米価の変動に左右され利益率の低かった本県農業に対し、園芸メガ団地の整備などで強力にコメ依存脱却を促進し、農地集約を進めて若い担い手を増やしてきました。その結果、コメ以外の戦略作目の産出額は800億円(平成28年)を超え平成7年以降で最大となり、平成25年以降5年連続で新規就農者が200人を超えています。また担い手への農地の集積率も平成29年で全国3位と高い水準です。  農政については現在の流れをしっかりと継続しつつ、生産調整廃止の影響や人手不足など農家の抱える課題に対して真摯に向きあいながら進めていかなければなりません。農業に関して私はまだまだ勉強中ですので、これから様々にご指導いただきたいと考えています。
10 持続可能で稼げる森林業の確立⇨進捗度C(緒にもついていない)
 恒久的で高規格な林業用路網を整備することにより、「低コストに増えた分だけ収穫する」「いずれ高く売れる将来木をあえて残す」という欧州式の持続可能な森林業へ、少しずつ移行していきたいと考えます。これが確立できれば林業は儲かる産業に変わります。「日本の山は急峻だから無理」「権利関係が複雑で路網は整備できない」という理由はごもっともですが、西日本などに比べてなだらかな秋田の山では、地形的に十分可能性のある地域が多くあります。山林所有権の相続が進み「負の遺産」となりつつあるいま、山林の集約化を進め、新設される森林環境税による補助制度などを活用して秋田の林業を少しずつ変えていくチャンスが到来しています。全国一のスギ人工林面積を誇る秋田の山を活かさぬ手はありません。